2014年03月28日
ミッチェル408の歴史と壱号機、弐号機、参号機
ミッチェル408は1963年にミッチェル308のハイスピード・バーションとして生まれました。
“Ultra-Light”もしくは”Ultra-Sport”として知られています。
ボディやスプール、ハンドル等はそのまま流用し、カラーをブラックからネイビーブル-
に変更(Mitchell Fishing Reel Museumではdark-rich Midnight Blueと呼んで
います)。
それまで主流だったストレートベベルギアではなく、グリーソンカッターで製作した非常に
凝ったスパイラルベベルギアを搭載することでハイスピードかつスムース、トルクフルと
いった特徴があり、当時としては画期的なリールだったのじゃないでしょうか。
もちろん、プラナマティック・オシレーションシステムはそのまま引き継がれています。
スパイラルベベルギヤ ストレートベベルギヤ
小生の弐号機は1967年製の2ndバーションです。区別は1stバーションにはハンドルの
基部にダストカバーが付いていませんが、2ndバーションからは装着されています。
それで区別が付きます。
1970年代に入ると、3rdバージョンが登場します。小生の参号機は3rdバージョンに
当たります。
大きな変更は、2ndバージョンまでベールはタングステンカーバイドの固定ガイドでしたが、
3rdバージョンからラインローラーが付いたことです。
これにより、糸ヨレがかなり軽減されたと聞きます。
その代わりローターの重量配分が崩れ、ローターの回転時のブレが酷くなっています。
これはベールを替えたにも関わらず、それ以外の変更をしなかったためバランスが崩れて
しまったからでしょう。
実際、3rdバージョンに2ndバージョンのベールを装着するとブレが収まりますから(笑)
弐号機の固定ガイド 弐号機のベール
ボディの変更としては、フットが小さくなっています。もともと、大足のミッチェルですので、
小さくなったことは朗報でしょう。
左が弐号機(1967年製)、右が参号機(1970年代製)
これ以降は変更がありませんね。
左が壱号機(1978年製)、右が参号機(1970年代製)
その他、細かいところは変更されています。
ローターのベールスプリングケースが深くなり、それに合わせてベールスプリングも
それまでの4回弱巻きから5回弱巻きに変更されています。
弐号機のスプリング 参号機のスプリング
ベールストッパーやスプリングもより簡便なものに変更されています。
弐号機のローター内 参号機のローター内
ミッチェルには珍しく、これらには基本的に互換性はないので気をつけてください。
無理に混合して使うとベールが途中で返らなかったり、ローターの回転時に異音が生じたり
します。
もし、変更されるときはメンテナンスを熟知している人に助言してもらうと良いでしょう。
メインシャフトも2ndと3rdで変更されています。
スプールを固定する羽根が4枚から2枚になっています。また、スプールにかみ合わせる
ギヤもセパレート式の金属からプラスチックのモノコックになっています。
弐号機のメインシャフト 参号機のメインシャフト
個人的にはスプールに素直に装着できる4枚羽根のメインシャフトが好きですね。
なかなか気づかないのが、ハンドルノブです。2ndバーションまでは表面のシボは少なく、
根元が細くなっていますが、3rdバージョンからはシボが多くハッキリとしていて、根元も
ゴツくなります。
また、2ndバージョンはガタが少ない分、回転に抵抗があり、3rdバージョンは遊びがある分
だけ回転がスムースです。
弐号機のノブ 参号機のノブ 壱号機のノブ
408として大きな変更があったのが、1978年です。最後の408といっていい4thバージョン。
ボディカラーがスカイブルーになっただけではなく、それまで好評だった、スパイラル
ベベルギアを捨てて、ストレートベベルギアになってしまいました。
ハイギヤのままですので、後に出る308Aと同じシステムです。これに至っては408の408たる
所以を捨ててしまった感があります。
一説によると、経営難に陥ったミッチェル社がグリーソンカッターを売り払ってしまったのが
理由だそうな。1978年製の408はそんな時代に生まれた不幸な機種だったと言うことです。
小生の壱号機はまさにこの時期の408で、ドライブギヤ・システム以外は3rdバージョンと全く
同じなんです。
ドライブギヤ・システム自体にも互換性がありますよ。そのため、小生の壱号機は参号機から
スパイラルベベルギヤを移植しました。
しかし不思議なのが、スムースなはずのスパイラルベベルギヤよりゴリ感タップリのストレート
ベベルギアの方が巻き抵抗が少なかったりします。何故なんでしょうね(笑)
その他、細かいところでは、ボディのネームも変更されています。
3rdまではボディに直接刻み込まれていたのがプレート式になりました。
また、時代は違いますが、アンチリバースのレバーにも変遷があって、1960年代の1st~2ndまでは
レバー中央に捻じ込みの跡が残っていますが、3rd以降のレバーは一体式になっています。
弐号機(2nd) 参号機(3rd) 壱号機(4th)
スプールにも変遷があって、1960年代の1st~2ndまではライン止めがスプールの下面の1ヶ所に
割が入っていますが、、3rd以降では上面に穴が開いています。
スカイブルーの408で一旦408は歴史を閉じますが、どういうわけか、1980年代中盤に408A
として復活します。
しかしマニア垂涎のスパイラルベベルギヤによるドライブギヤ・システムは搭載されず、真鍮製
フェースギアが使われていてファンには物足りないものでした。これ以降、再び408はその歴史
を閉じることになるのです。
小生は、2nd、3rd、4thの408を所有していることになりますが、本当の意味での408は
スパイラルベベルギヤ搭載の1st~3rdということになりますので、実質2つですか...
所有するにはどれが良いかというと、アンティークとしては1stバージョンにとどめを刺しますが、
実用となるとベールにラインローラーが付いている3rdバージョンでしょうね。2ndバージョンに
3rd以降のラインローラー付きのベールを移植しても良いですよ。
さて、自分で所有して分解洗浄し、メンテしていて気づいたことやHPでの記載などから分かった、
ミッチェル408の歴史を辿ってみました。
貴方も魅力タップリにフランスの貴婦人のオーナーになってみませんか?
“Ultra-Light”もしくは”Ultra-Sport”として知られています。
ボディやスプール、ハンドル等はそのまま流用し、カラーをブラックからネイビーブル-
に変更(Mitchell Fishing Reel Museumではdark-rich Midnight Blueと呼んで
います)。
それまで主流だったストレートベベルギアではなく、グリーソンカッターで製作した非常に
凝ったスパイラルベベルギアを搭載することでハイスピードかつスムース、トルクフルと
いった特徴があり、当時としては画期的なリールだったのじゃないでしょうか。
もちろん、プラナマティック・オシレーションシステムはそのまま引き継がれています。
スパイラルベベルギヤ ストレートベベルギヤ
小生の弐号機は1967年製の2ndバーションです。区別は1stバーションにはハンドルの
基部にダストカバーが付いていませんが、2ndバーションからは装着されています。
それで区別が付きます。
1970年代に入ると、3rdバージョンが登場します。小生の参号機は3rdバージョンに
当たります。
大きな変更は、2ndバージョンまでベールはタングステンカーバイドの固定ガイドでしたが、
3rdバージョンからラインローラーが付いたことです。
これにより、糸ヨレがかなり軽減されたと聞きます。
その代わりローターの重量配分が崩れ、ローターの回転時のブレが酷くなっています。
これはベールを替えたにも関わらず、それ以外の変更をしなかったためバランスが崩れて
しまったからでしょう。
実際、3rdバージョンに2ndバージョンのベールを装着するとブレが収まりますから(笑)
弐号機の固定ガイド 弐号機のベール
ボディの変更としては、フットが小さくなっています。もともと、大足のミッチェルですので、
小さくなったことは朗報でしょう。
左が弐号機(1967年製)、右が参号機(1970年代製)
これ以降は変更がありませんね。
左が壱号機(1978年製)、右が参号機(1970年代製)
その他、細かいところは変更されています。
ローターのベールスプリングケースが深くなり、それに合わせてベールスプリングも
それまでの4回弱巻きから5回弱巻きに変更されています。
弐号機のスプリング 参号機のスプリング
ベールストッパーやスプリングもより簡便なものに変更されています。
弐号機のローター内 参号機のローター内
ミッチェルには珍しく、これらには基本的に互換性はないので気をつけてください。
無理に混合して使うとベールが途中で返らなかったり、ローターの回転時に異音が生じたり
します。
もし、変更されるときはメンテナンスを熟知している人に助言してもらうと良いでしょう。
メインシャフトも2ndと3rdで変更されています。
スプールを固定する羽根が4枚から2枚になっています。また、スプールにかみ合わせる
ギヤもセパレート式の金属からプラスチックのモノコックになっています。
弐号機のメインシャフト 参号機のメインシャフト
個人的にはスプールに素直に装着できる4枚羽根のメインシャフトが好きですね。
なかなか気づかないのが、ハンドルノブです。2ndバーションまでは表面のシボは少なく、
根元が細くなっていますが、3rdバージョンからはシボが多くハッキリとしていて、根元も
ゴツくなります。
また、2ndバージョンはガタが少ない分、回転に抵抗があり、3rdバージョンは遊びがある分
だけ回転がスムースです。
弐号機のノブ 参号機のノブ 壱号機のノブ
408として大きな変更があったのが、1978年です。最後の408といっていい4thバージョン。
ボディカラーがスカイブルーになっただけではなく、それまで好評だった、スパイラル
ベベルギアを捨てて、ストレートベベルギアになってしまいました。
ハイギヤのままですので、後に出る308Aと同じシステムです。これに至っては408の408たる
所以を捨ててしまった感があります。
一説によると、経営難に陥ったミッチェル社がグリーソンカッターを売り払ってしまったのが
理由だそうな。1978年製の408はそんな時代に生まれた不幸な機種だったと言うことです。
小生の壱号機はまさにこの時期の408で、ドライブギヤ・システム以外は3rdバージョンと全く
同じなんです。
ドライブギヤ・システム自体にも互換性がありますよ。そのため、小生の壱号機は参号機から
スパイラルベベルギヤを移植しました。
しかし不思議なのが、スムースなはずのスパイラルベベルギヤよりゴリ感タップリのストレート
ベベルギアの方が巻き抵抗が少なかったりします。何故なんでしょうね(笑)
その他、細かいところでは、ボディのネームも変更されています。
3rdまではボディに直接刻み込まれていたのがプレート式になりました。
また、時代は違いますが、アンチリバースのレバーにも変遷があって、1960年代の1st~2ndまでは
レバー中央に捻じ込みの跡が残っていますが、3rd以降のレバーは一体式になっています。
弐号機(2nd) 参号機(3rd) 壱号機(4th)
スプールにも変遷があって、1960年代の1st~2ndまではライン止めがスプールの下面の1ヶ所に
割が入っていますが、、3rd以降では上面に穴が開いています。
スカイブルーの408で一旦408は歴史を閉じますが、どういうわけか、1980年代中盤に408A
として復活します。
しかしマニア垂涎のスパイラルベベルギヤによるドライブギヤ・システムは搭載されず、真鍮製
フェースギアが使われていてファンには物足りないものでした。これ以降、再び408はその歴史
を閉じることになるのです。
小生は、2nd、3rd、4thの408を所有していることになりますが、本当の意味での408は
スパイラルベベルギヤ搭載の1st~3rdということになりますので、実質2つですか...
所有するにはどれが良いかというと、アンティークとしては1stバージョンにとどめを刺しますが、
実用となるとベールにラインローラーが付いている3rdバージョンでしょうね。2ndバージョンに
3rd以降のラインローラー付きのベールを移植しても良いですよ。
さて、自分で所有して分解洗浄し、メンテしていて気づいたことやHPでの記載などから分かった、
ミッチェル408の歴史を辿ってみました。
貴方も魅力タップリにフランスの貴婦人のオーナーになってみませんか?
Posted by ミーヤン at 07:00│Comments(0)
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